祭場楽座、椅子式に変更

2024/3/31

  かねてから要望の挙がっていました祭場楽座の椅子化が完成し、この天地金乃神大祭から、奏楽者は正座による演奏から椅子に座っておこなうことになりました。

 このことは2年前の年末、ある信奉者の方から祭場楽座を椅子化する資金の献納を申し出られたことから始まります。もっともこの献納の話は以前から申し出られていたのですが、コロナ禍をはじめとするさまざまなうねりの中で立ち消えになってしまっていました。
 このたび、中断された申し出の再開ということで、典楽会役員会としては異論なく申し出を受けさせてもらうべく、昨年の第1回代表委員会で正式な決定を見た上で椅子化に関わる機材の調査や選定を行っていきました。そこでは以前から椅子化されていた会堂楽座の太鼓台や奏楽台、椅子を参考にさせていただきました。

 一方で、祭場という教団の重要な場に設置する備品として教団に受け入れてもらわねばなりません。そこで3月24日、祭場の椅子化に関わる備品の教団への受け入れについて教団所管の布教部長をはじめ関係職員と懇談を行い、備品献納を教団として受け入れは可能との判断をいただきました。さらに今後の運用とりわけ保管場所をはじめ修理や補充等のメンテナンスについても協議することができました。
 備品献納の手続きとしては、一旦典楽会にて献納を受け、改めて典楽会から教団に献納を要請するという形をとることで了解をいただきました。

 発注は、各種の奏楽台については、注文制作品として岡田神具装束店に一括してお願いすることとし、奏楽用の椅子は一般で売られているものの中から、よりふさわしいものを選定して業者から購入することとしました。

2023年9月3日、発注していた奏楽台の試作が届き、打楽器和琴講習会時、参加者に見てもらい意見を聴取しました。今回発注したものはすべて白木(ヒノキ製)で作成され、箏の奏楽台は、箏台と譜面台を一体化したものとなっています。試作通りのものでお願いするようにしました。

2023年11月29日、発注した椅子が納品されました。打楽器に使用する椅子のうち2台は、標準の椅子高では演奏に支障が出るため、高さを調整したものです。

年が明けた2024年2月、楽座には正座での奏楽に対応できるよう厚手のカーペットが敷かれていましたが、椅子や台を置くと少々不安定になることが予想されます。
また、かなり重たいカーペットであり、それを祭典ごとに敷き、終了後は再び巻いて収納していた労力は結構なものがあったようです。
そこで今回、楽座にカーペットの代わりに、タイルカーペットを敷き詰め、使用しない時期は、ブルーシート等でカバーすることにしました。

そして、3月16日午後に、岡田神具装束店から発注しておいた新たな奏楽台等が搬入され、これで楽座の奏楽台、椅子すべてが揃いました。これらの奏楽に関わる備品は、すべて楽座で保管することになります。

 今回の祭典で初めて新たな機材を使用し、椅子に座った状態での奏楽をお供えすることができました。 椅子化に関わっては、少数ではありますが異を唱える方もおられるでしょう。
正座は、畏まって座る一番の作法であると思いますし、神様の前においては正座をもって巳を処していくことが、神様に向かう人としての最良な有りようであることは、頷けない方もいないでしょう。しかし、そういう思いを持ちながらも足のお悪い方々にとってこれは間違いなく朗報です。

 人は必ず老いを迎えます。元気な時期は正座でも椅子でもどちらでも良かったのが、やがて筋肉は衰え、体調を崩し、足を悪くし・・・。痛む足をさすりながら我慢しつつ座って奏楽に臨まれていた方も少なくはないでしょう。
 今までは、座れなくなれば祭場楽座での奏楽奉仕は実質不可能であったのが、今回からは足が悪く座れない方でも神様に向かう元気な心があれば、奏楽奉仕が可能になりました。
 実際に、足が悪く奏楽奉仕から遠のいていたのが、ひさしぶりの御用を頂いて本当にありがたかったという声をお聞きしました。
 本部において奏楽奉仕を志そうとする気持ちが定まっていれば、それを阻む障害はできる限り取り払って行く姿勢が、これからの時代には大切なのかも知れません。

 御献納頂いた一信奉者の方、故あってお名前は申し上げられませんが、まことにありがとうございました。将来世代に典楽が確かに伝承し続け、本部広前の奏楽がこれからもしっかり継続していくよう、大切に使用していきたいと願っています。

 残るは、楽人控室の椅子化です。控室スペースの問題で配置等考えることが多いようですが、しっかりと準備選定を行い、生神金光大神大祭までを目指して、調えていきたいと願っています。

 
楽座(打楽器、箏)







楽座(箏・三管)









楽座(後ろ面から)