記念曲制作ものがたり
その41 エピローグ

この2年間、この記念曲に費やされた時間はどれほどか、などと考えたくもない。時間さえあればこのことをやっていたような気がする。
それほど、労力が必要なことであったと同時に、魅力的な御用でもあった。

こうした労力は形となって、1枚のCDと、刊行楽譜として残っている。

典楽の音楽理論について、ほとんど頓着はなかったのだが、洋楽との対比においては必須であることを痛感した。また、その違いを勉強できたことも大きい。余談ではあるが、箏の譜面が理解できるようになったことも収穫だった。楽譜の作成においては、新たな技術をもつことができた。

その他にも、自らの糧になったことはたくさんある。しかし、一番大きなものは、たくさんの人たちとともに、一つのことを求め合っていけたことではないかと思う。
作曲家のY氏をはじめ、作成全般にわたりお世話になったM氏、典楽の検討を受け持った指導員の方たち、収録時お世話になった、S先生と合唱団のみなさん、楽人さん。
録音でお世話になったスタッフの方々。またこの話では触れることができなかったが、たくさんの人々の支えの中で、このプロジェクトが動いてきたことを、改めて思う。

ほんとうにお世話になりました。ありがとう。

一つの形が、こうして誕生した。しかしこれは完成ではなく、ここから始まるのだと思う。どのように展開していくのか、まだ誰も分からないが、きっと動き出すだろう。
さらにステージを上げて。さらにパワーアップして。
コーラスと典楽という、本教の祭典時に使用される音楽が、真に本教文化として世界に誇れるような音楽が生まれていくことを切に願う。 

(了)