記念曲制作ものがたり
その39 ライブの準備

記念式当日のライブ演奏をどうするのか。実は収録の時点でもまだ迷っていた。
収録を終えて、雅楽器とコーラスとの音量のギャップをあらためて感じ、半ばあきらめようかとも思っていたが、作曲家のY氏がはるばる東京から来てくれることになり、実際の演奏を楽しみにしているとの話も伺ったからには、まさか彼らの前でCDを流すこともできないので、やるしかなくなった。
収録は、若手で行ったので、記念式当日の演奏は、これまで検討に当たって頂いていた審議委員のメンバー(おじさま&おばさま)にお願いすることになる。その旨、委員長にお願いして、人選に当たってもらった。

さて、問題は雅楽器とコーラスの音量差をどう埋めるのか、である。
記念式の会場は、修徳殿。拡声装置は備わっているが、そう大きなものではない。とりあえず、コーラスパートだけをマイクでひろって、ミックスして拡声機に放り込むくらいしか方法はないだろう。
「外部入力って、あるのかな?」
早速下見である。ワイヤレスマイクが2本、通常のマイクが4本ほど使えるようだ。CDやカセットテープも再生できるし録音も可能だ。しかし外部入力は、表面にはない。
本当はしてはいけないのだが、裏のボードをはずしてみた。すると余っている入力端子があった。当日は、悪いけどボードをはずして使わせてもらおう。マイクは6本ほど立てればいいのではないか。ミキサーももってくる必要がある。
コーラスの拡声は、何とかなりそうだ。

ライブを行う以上、楽譜の通りの編成が望ましいのだが、打楽器の収録時にかなりそれを入れることのリスクを感じていた。慣れないのでよく間違うし、とりわけ鞨鼓のリズムは、初めて聴くものにとっては、違和感いっぱいの代物だろう。リズムを取れなくしてしまう危険性は大きい。
まともなリハーサルの時間が取れないのは明らかであり、今回は収録時と同じ編成でやることにした。

また、2章にはピアノとオルガンが加わる。その手配もしなければならない。
本部には幸いにも、ヤマハのEL900というグレードの高いオルガンがある。これは持ち運びは可能であり、借りることにした。ピアノもあるが、持って行くには大変であるため、電子ピアノをレンタルすることにした。

雅楽器は管各1巻ずつと箏1面。あとはコーラスの人たちが何人集まるかである。