記念曲制作ものがたり
その27 新曲、お詫びをする

新曲の要望、とりわけピアノとオルガンの伴奏譜作成に対して、作曲家のY氏からの返事は、相当とまどっているような感じであった。そんなにたいへんなことなのだろうか。私にすれば、今できている曲にピアノとオルガンの伴奏をつけるだけなので、そんなに難しいことではないのではとの思いがあったので、反応は意外であった。それでも考えてくれるだろうと簡単に思いこんで、そろそろ典楽譜への変換をはじめようとしていた時、M氏から電話をもらった。

 用件は別にあったのだが、その際に私からの新曲への要望のメールについて、作曲家のY氏に、もしかすると誤解が生じているのではないかというものだった。つまり、メールの文面からして、ピアノとオルガンとを加えて、1、3章を再構成してほしいといった、ニュアンスに取られる可能性があるというのである。

「ムムッ」電話の後、私のメールと、Y氏からの返信メールを交互に読む。
「ウーン」その可能性は、大きいのではないか。だんだんと不安になる。
M氏からの指摘を受ける前には気づかなかった「ピアノとオルガンが入るのでしたら発想が変わってきたような気がします。」とのY氏の言は、まさにそのことを言っているのではないか。そのように考えると、Y氏のとまどいもよくわかるのだ。
こちらとしては、できた曲にコーラスの練習ができるような簡単な伴奏譜をつけてほしいというノリであっただけに、そのような思いがY氏に伝わっているものと勝手に思っていた。

文章とはこわいものである。思いをきちっと文章で伝えられるスキルがない者が、文章をつくると往々にしてこんなことになるものなのか。またまた反省。
そして、さっそくY氏にお詫びメールを打ったのである。

> Y 様
>
> 前に送らせて頂いた「新曲の確認その1」のメールについて、
> 私がまったく不用意に言葉を使っていました。当然、こちらの意を
> 十分に尽くしておりませんので、お詫びしつつもう一度確認させて
> ください。
>
> こちらの状況としては、前に申し上げた、現在典楽とコーラスが一緒
> に練習できる機会は、ほとんど無いと言っていいくらいありません。
> その上でのお願いであったわけですが、私が不用意にも
>
> >続いて、1章と3章についてですが、ピアノとできればオルガンの
> >伴奏譜がほしいと思います。
>
> と書いてしまいました。この意図は、コーラスの練習用にピアノある
> いはオルガンの伴奏譜がほしいという観点からの希望です。
> 1章、3章の大きな流れの中に、ピアノやオルガンを加えて再構成して
> ください、という意味では決してありません。
> もし、前回のメールで山下さんが構想を変更されようと悩まれているの
> ならば、本当にごめんなさい。まったく不注意でした。
>  ただ、でき得れば、その伴奏譜も、曲中に使用しても違和感なく使用
> できれば(笙ははずすなどして)さらにいいな、という欲張りな思いは
> あります。
>
> 以上、謹んでお詫びしつつ、再確認させていただきます。
> なお、不明な点は遠慮なく問い合わせてください。