記念曲制作ものがたり
その11 来光準備にかかる

典楽譜が完成した。従来のものとあまり違和感を持たせないように、歌詞は毛筆体を使用する。なかなかいい感じである。ただ唱歌の部分や音孔の文字は、厳密さを持たす意味でも、1文字のスペースが同じになる明朝体を使用した。
唱歌における文字の大きさは重要である。この大きさによって音の長さが決まるからだ。
1拍子(はこ)=8拍子(ひょうし)であるので、通常の倍角文字1文字を1拍子(ひょうし)に当てる。つまり1拍子(はこ)に倍角文字が8個並ぶ案配である。半拍子(ひょうし)には半角文字を当てる。こうすることで、通常の典楽譜よりも唱歌が理解しやすい楽譜となったと思う。足らないのは、品格というか雰囲気というか筆書きの持つ独特の味わいの世界である。

さて、来る音出しに向けて準備をしなければならない。龍笛、篳篥は問題ないであろうが、笙と箏は少し練習してきてもらわねばならないと思っていた。笙は当日の楽人の中の一人にお願いした。箏は、通常の早掻、静掻ではない構成になっているので、かろうじて典楽譜への反映はできていたが、洋楽を理解できている人のほうがいいかと思われる。そこで、ブラスバンド経験のある箏の楽人N氏にお願いした。そして、それぞれ典楽譜と洋楽譜とを送付したのである。3月下旬のことであった。時間はあまりない。

4月5、6日の2日間で、しなければならないことは多い。まずは、編曲の音出し。作曲者も実際に音を出してみないと分からない部分があると言っていた。祭典に触れてもらうのも重要だ。そして新曲制作に関わってのコンセプトや具体的な方法を確認する場も設定しなければならない。
音出しは、当日では時間が取りにくいと思われる。祭典前は、練習等であわただしいし、祭典後は、遠くから来ている人もあり引き留めるのは可哀想である。したがって、前日の習礼後が一番いいだろう。コーラスとの合わせも是非したい。
作曲者との懇談の場は、編曲の音出しや、練習風景、祭典等一通り触れて頂いた上での方が、こちらの様子が分かっていいのでは。企画書は事前に送っているので、こちらの大まかな願いはお分かり頂いていると思われる。

として、下記のような日程となったのである。

Y氏来光日程

  5日
9:46 東京発のひかり乗車(大阪からM氏が同乗)
14:41 金光着
15:00 祭場にて習礼見学
16:00 祭場合唱ステージにて、コーラス部分合わせ
16:30 祭場楽人控室にて、典楽器とコーラス合わせ
18:00 移動(倉敷へ)
18:30 夕食(典楽会役員同席)

  6日
13:30 天地金乃神大祭参拝
15:30 典楽会役員との懇談(教庁中会議室)
17:30 終了予定