編集後記
 以前、葬儀の奏楽の御用をさせていただいたとき、「葬儀用の曲があるんですね」と言われたことがある。中正楽には、葬儀の着席にはこの曲、というように決まったものはなく、その時吹いた曲も、大祭等でも使用する曲を少しゆっくりと吹いたのだが、聞き手の心持ちによって、そのように受け止められることもあるのかと興味深かった。
 受け止められ方はさまざまだろうが、吹く側としては、その場の雰囲気に気を配りながら、その時できる範囲で一生懸命に御用させてもらう。その際、少しでもよい楽のお供えができるためにも、日頃の稽古が大切だと思わされた。