会長就任に当たって
 石 井 廣 明

立教百五十年のお年柄をお迎えいたしました。大切なこの時期、前会長榎本寿行氏の後任に、不徳な私ごとき者が、おこがましくも典楽会会長の御命を拝しましたことは、誠に僭越至極の至りであります。ここからの役員や各委員皆様方のご苦労や御用業績を考え合わせると、どこまでその御用をさせていただけるのか恐れ入る次第であります。
 前会長は、平成9年半ばから急遽赴任され、有能なスタッフの方々と共に、典楽会結成五十周年も願いの下に盛大に遂行され、対外的や内面的な重要課題にも願いを持って取り組まれ、長年に渡り重責を担ってこられましたことは、真にありがたく、感謝と御礼を申し上げます。

 私、不本意ながらも御命を仰せ仕りましたからには、先生方や楽員会員の皆様方のご協力を賜り、一期2年の任期を、微力ながら、つつがなくおかげをこうむり、務めさせていただきたいと存じます。
 典楽会発足54年間の持つ意義は、楽人一人ひとりが持つ共通した目的とご奉仕の真心をもって全てのことが営まれ、自主的な活動精神を最優先に、延々と培われてきている団体ということであります。したがって、意識の主体が自主性であるだけ、常に緊張感を維持しなければ、基本であるところの御用精神と使命感の域から外れ、芸能範囲に留まり、趣味的な傾向に偏る恐れが強まってまいります。

 栄えある伝統と歴史を汚すことなく、脈々と受け継ぎ受け継がれていく典楽会として、さらに躍進していくべく、楽人一同は、本年立教百五十年を契機として、個々がさらに今一度初心に立ち返り、信心姿勢のあり方と奏楽御用の本筋をひたすら見つめ直し、信心の進修と楽技向上の追求を極めつつ、諸先生方に信望を得、また、信奉者や新楽人の方々には羨望を得る楽員としての自覚を深く促進してまいりたいと存じます。

 このたび、榎本前会長をはじめ、長年楽技を磨いてこられた楽員の中に、75歳に達したことにより、前例にならって、後進に道を譲るべく、本部役務と本部指導員を勇退される方がおられます。しかし今後も、これまで培われてきた味わいのある楽技を埋もらせず、各支部において後継者の育成指導に活かし、正当性を固持した練習に発揮していただきたいと存じます。
 また、意欲と新感覚に満ちた楽人の活躍に期待するとともに、隠れた若年層の優れた人材にも出てきてもらいたいと願っております。さらに、打楽器、和琴奏者の充実、現在まで流動的である、ご本部儀式における、打楽器、和琴奏者の推薦方法といった課題などにも、将来的に取り組んでいけたらと願っております。

 この節目の御年を、使命感に満ち溢れた奏楽御用に徹し、嬉しく楽しくありがたくの楽道に邁進する気持ちと元気を頂き、おかげに繋がる御用のできることを第一目標に、なお一層飛躍してまいりたいと存じます。