吉備舞公演という布教活動
 典楽会は、祭典時の奏楽奉仕をはじめ、日々、楽技の向上に努め、本教文化としての伝統の継承と発展を図るほか、本教布教活動に資することもその目的に掲げています。
 これは、尾原楽長の、神人の和楽を奏することにより、少しでも社会のお役に立たせていただきたい、との精神を受け継いだものです。
 昭和60年代から、吉備舞が、一般の公共イベント等において披露される機会が段々とできてきましたが、このことは、吉備楽を広く一般に知っていただくことになると同時に、それを伝える金光教の存在を社会に伝えることにもつながります。
 また、出演者は当然、稽古に励むことになり、楽技の向上、次世代への伝統の継承にも一役かっています。
 本号では、近年の取り組みから、岡山県で行われているRNNヒーリングコンサートと、平成19年8月に福岡県で開催された「邦楽へのいざない」について紹介します。

RNNヒーリングコンサート
 中国支部(現在は東西に再編)では、平成17年から行われている、RNNヒーリングコンサートに出演しています。
 RNN(人道援助宗教NGOネットワーク)は、岡山県を中心とした、宗派、教団を超えた宗教NGOのローカル・ネットワークです。結成以来、世界平和に向けた様々な活動を進めてこられましたが、戦後60年に当たる平成17年、岡山空襲のあった6月29日に、戦争で亡くなった人々への慰霊とともに、世界平和への願いをそれぞれの宗教の持つ音楽を演奏することで現し、参加者と祈りを共にしたいとの願いのもと、岡山カトリック教会において、ヒーリングコンサートが行われました。RNNから典楽会に出演の依頼があり、金光教のほかには、RNN参加教団のなかから、イスラーム、カトリック、黒住教、真言宗、天台宗、プロテスタント、と七教派が出演し、会場に包まれる祈りの中で、それぞれの宗教音楽を一般の方に聞いていただく機会になりました。
 これを皮切りに、平成18年は、岡山県児島文化センターにおいて行われた、倉敷王子ライオンズクラブ35周年記念事業の中でヒーリングコンサートが行われ、真言宗、天台宗、プロテスタントの方々と共に出演したほか、平成19年は、5月26日に本部総合庁舎1階ホールで行われたRNN十周年記念フォーラムの閉会式に、また、8月21日には、日韓宗教研究FORUM(金光町で開催)の中で行われたヒーリングコンサートに出演させていただきました。
 このように、金光教の伝統文化を一般に聞いていただく機会を与えられることはありがたいことであり、今後も期待に応えていけるよう精進していければと願っています。

邦楽へのいざない
 北九州支部では、平成19年8月11日、福岡県飯塚市のコスモスコモン中ホールにおいて、尺八、箏、コーラスの方々と共に、「邦楽へのいざない」と題したコンサートを開催しました。
 支部内では、お道にはすばらしい典楽があるのに、それを社会に表現する場があまりない、との問題意識もあり、天地のおかげの中で、木や竹でできた楽器の奏でる音色の心地よさを、一般の方にいかに知っていただき、共感していただくか、また、何とかそのような場を提供できないか、との声が上がり、そうした雰囲気が日増しに膨らんできていました。やがて、平成19年の初め、願いに賛同する楽人の間で、典楽を披露するための具体的な話し合いが持たれるようになりました。そして、同年の8月11日に飯塚市でコンサートを開催することが決定しました。
 そのような動きのなかで、楽人の一人が関係する社会ボランティア団体で箏曲の教室の方々とのつながりができ、さらにそこから、コーラスや尺八教室の方とのつながりができ、当初の計画からは考えもつかないような広がりをもつこととなり、600人の会場でのコンサートを行うことができました。
 残念ながら、金光教の名を出すことはできず、「吉備楽保存会」の名での出演となり、また、初めてのことで様々な課題も残りましたが、会場に来ていただいた方からは、「格調が高く、歴史や重みを感じた」「ぜひ来年も」といった声も聞かれました。
 また、チャリティー活動も行い、平和活動センターの「一食をささげるチャリティー」に献金することもできました。