立教百五十年を迎えるにあたって
                会長 榎本 寿行
平成17年に典楽会結成50年記念祭を盛大にお仕えさせて頂きましたことは、親神様のおかげと金光様のお祈り、また、会員・楽員の皆様方のお祈り添えのおかげと、ありがたく感謝しております。
 さて、この5月31日をもちまして、会長任期を満了しましたが、会長推薦委員会より推挙され、教主金光様に御取次をいただき、お届け申しあげましたところ、「神様の思し召しと思わせていただき、御用のおかげをいただきなさい」とのお言葉をいただきましたので、新たに会長のお役目をいただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 ところで、教団におきましては、平成21年に迎えます、立教150年祭に向かって、各種の取り組みが進められておりますが、私たち典楽会といたしましても、役員や指導員を中心に楽員・会員一丸となり、その願いに添って立教150年祭を目指し、教祖様をはじめ歴代金光様に喜んでいただけるおかげをいただくべく、御用に励ませていただきたいと思います。
 特に、立教150年祭での使用を検討しております典楽会結成50年記念曲「教祖賛仰」は、コーラスや洋楽器との融合で、今までの典楽を一層深いものへと見事に表現しておりますので、立教150年祭に向けて、この記念曲の稽古にも取り組んでまいりたいと思います。

 典楽会の歴史は、明治35年4月1日に典楽部規則が施行されたことに始まります。その後、試行錯誤の中、儀式においての奏楽が独自の形を整え定着してまいりました。この典楽奏楽が、本教の祭典に用いられるようになって105年が経過し、先輩先師が御用の徳を積み上げてくださり、そのおかげを現在、私たちが受け継いでおりますことは、何ともありがたく、もったいないことでございます。
 この金光教の文化である典楽を世界に広め、将来に向けて後進の育成充実に取り組ませていただくことが、私たちの役目であり、先輩先師への報恩と思っております。
 そのためにも楽の御用をいただいております私たちは、会員の心得のとおり、道の教えを本にして、お取次をいただいて、信心と楽の稽古をさせていただくことを念頭にして、何事も修行として取り組み、根気、元気、活気という三つの気を持って、辛抱強く稽古に励み、親神様にも人様にも喜んでいただき、自分も喜べるようなおかげをいただき、信心と楽技の向上に努めてまいりたいと思います。
 しかしながら、ややもすると「楽人(がくじん)とは楽人(らくじん)になりやすい」とも言われておりますので、私たちは常に初心を忘れず、奏楽御用に当たりたいと思っております。
 なお、金光教の文化である典楽について、日本邦楽会の権威者であられる吉川英治先生は、「全世界広しといえども、中正楽という独自の祭典音楽を持つ宗教は、金光教だけである」と言われておりますことを誇りに、立教150年祭に向けて更に稽古に励んでまいりたいと思います。