典楽会結成50年記念曲演奏奉仕をとおして
桑山 啓旦(六甲教会)


このたび典楽会50年記念式に会員としてこの節年に出会わせていただけましたことは、親先生はじめ諸先輩御霊様の深いお祈り添えと数々のお繰り合わせを感じております。
3、4年前の審議会の場で初めて山下美香先生の「神人の栄光」の譜本を頂きました。それには、笙の3本吹きという今までに無い手がつけてあり、なかなか手が動かず苦労しました。
一人で何度が練習するうちに、どうにか手が動くようになったのですが、いざ合奏となるとうまくいかないということがあり、このたびの記念曲「教祖讃仰」では合竹で奏することになったとお聞きしております。
また、記念式当日は全体でのリハーサルもできず、ぶっつけ本番であり、特に指揮者の指揮棒にあわせるという初めての経験で、大変プレッシャーを感じ、演奏中何度か混乱してしまいそうでしたが、内山・市川両先生のおかげで、かつがつ演奏を努めさせていただいた状態でしたので、翌日の練習会ではなんだか、ボーとしておりました。
何分今時の子供と違い、洋楽の音符には馴染みが無く、特に笙を演奏する者にとって、典楽では半拍子先に拍子を刻んでいますので、洋楽の方と一緒に指揮棒に合わせて拍子を刻むことが大変難しく苦労しました。
私と典楽の出会いは、六甲教会の信徒で笙の御用をしておられた井本武雄氏が、「桑山くん笙をやってみたらどうや」とお声賭けくださったことがきっかけで、手ほどきをいただき、二代教会長である澤田右三良先生が、天王寺教会で開催されていた典楽教室へ参加できるようお取はかりくださったことが始まりです。
また、昭和49年に本部楽員試験に合格させていただいてからは、「本部からの御用は断らんように」とお教えいただき、そのことを守らせていただいたことから、今日の数々の御用にお取立て戴く事とならせていただいておると思わせられております。

御用は何一つこちらからさせてくださいといってさせていただけるものではなく、楽のことだけに限らず、「御本部あっての……」という御用精神をよりいっそう大切に取り組ませていただきたいと願っております。
今年、西近畿支部においても50周年の節年を迎えますが、神戸地方においては、昭和26年頃には、金扇会という楽の組織化がされ、奏楽御用の上で教会間の交流も盛んに行われ、音がいいとの評判の六甲教会の太鼓は、当時の市電に乗せてもらって運んだ事もあったと聞かせていただきました。その様子を思い浮かべると、先輩方の楽に対する情熱といったものが感じられ、その思いを今一度ありがたく頂き直したいものと思わせられております。