勢をそろえること 



 金光教東近畿教務センター所長 
橋本美智雄(京都府・伏見教会)
 去る五月五日に東近畿青年フォーラムのメンバーが、テレビ番組「欽ちゃん&香取慎吾の新仮装大賞」に出演するおかげを頂きました。テレビに出られたのは八名でしたが、その準備のために手伝いとして参加してくれた方たちは二十名以上になります。それが何になるのかと思われるかもしれませんが、道に繋がる青年たちが一緒になって取り組む中で、それぞれに大切な何かを得てくれたことと思います。私自身は、一人では決してできない目標に向かって、勢をそろえて一生懸命取り組むことの大切さを学ばせていただいたように思います。もちろん、そんな人間の力を超えて、万事にお繰り合わせを頂くということを抜きには、実現できなかったと思います。
 典楽の御用にとっても、勢をそろえるということは、大切なことだと思わせていただいています。そのためには、練習会場へ何度も足を運ばなければならないでしょうし、いよいよは最後のリハーサルまで神経を使って全員の調整をしなければならないことだと思います。本部大祭のご用では、全国から集められた奉仕者の経験も違えば能力も違うわけですから、ぴたりとそろうことの方が難しいのかもしれません。しかし、そんな中でも心がそろったときは、祭場内の参拝者も気持ちいい思いで祭典を仕えることができているのではないでしょうか。
 教祖様は勢をそろえるということについて「世に勢信心ということを言うが、一人で持ち上がらぬ石でも、大勢かけ声で一度に力をそろえれば持ち上がる。ばらばらでは持ち上がらぬぞ」と、ご理解くださっています。私たち人間がもてる力を出し合って、一生懸命に取り組まさせて頂いて、皆の心が一つになった時には、それぞれが持つ能力の総和以上の力が発揮されているように思います。
 また、先のテレビ番組を収録する時に、本番ではテレビ局の側で、擬音や背景の音を付けてくれました。音が入ると、それまで物足りなかった演技が、見栄えのするものに一変したのです。あらためて、音の効果というものがいかに大切かを実感させられたのでした。同様に、音は祭典にとって大変重要な要素であると思います。典楽も、コーラスも、祭員も参拝者も、みな心をそろえて祭典を仕えることが出来た時には、さぞかし神様も喜んで下さっているのではないかと思います。その時には「神と人とのあいよかけよ」と呼べる状態になっているのではないでしょうか。