金光教典楽会結成50年を間近かにひかえて

 平成16年、典楽会は結成50年という記念すべき節年を迎えます。
 金光教典楽会は、昭和29(1954)年12月、それまで教団の内部組織であった「本部教会楽部」が教規改正により消滅したことにより、一地方団体として発足しました。「楽部」時代からのさまざまな課題を抱えての出発でした。

 典楽会は、まず本部教会楽部を中心とした運営から「全教の典楽会」をめざして、支部、分会といった中間組織を中心に会員を結集し、組織化していきます。指導方法も、師匠と弟子という個人対個人の指導方法の他、本部、支部、また分会といった単位で練習会、講習会が盛んに行なわれるようになり、いわゆる組織育成に重点を置くようになります。
 このことは、ある意味特殊な技能を必要とするだけに、ともすれば閉鎖的になりがちな典楽会の組織が、広く全教に開かれたものであることを示すとともに、新たに典楽を志そうとする人たちに門戸を拡げる上で大きな役割を果たしたと言えるでしょう。
 昭和53年には「典楽会規約」が全面改正され、楽師、楽手、楽手補の楽員資格階級制度を廃止し、会長推薦委員会が設置されるなど、より開かれた全教の典楽会としての基礎が固められました。平成11年には、より幅の広い典楽の普及・展開をめざしての規約改正が行われ、儀式に楽を奏し本教布教活動に資していくとともに、本教の中で育まれてきた文化としての典楽を継承し発展させていく、という大きな二つの方向をもって今日まで取り組んできたのです。

 そして50年を迎えようとしています。結成当時の楽員名簿では、90余名であった本部楽人は、現在400名を越えるほどになりました。地方で御用される楽人を含めると1200人を越える組織になりました。それは単に数の問題にとどまらず、先輩から脈々と受け継がれてきた伝統と、お道の信心に基づいた典楽の精神が確かに根付いてきているといえるでしょう。
 今年から、結成50年に向けてのさまざまな取り組みが動き出します。その大きな柱の一つとして、典楽の伝統を継承していく営みととともに、試みにその枠を広げ、洋楽との関わりを求めていきたいと願っています。いわば典楽と洋楽との融合を試みようということでしょうか。もちろん、今の典楽を変えようということではありません。典楽は典楽としてその伝統をしっかりと守りながら、新しい風も送り込んでみたい。その中で、典楽はますます豊かな音楽になっていくに違いありません。
 たくさんの先輩諸氏の働きの中でここまで培われてきた典楽です。そこに込められた願いと伝統はあくまでも大切にしながら、もう一段、音楽としてのステージを上げていく可能性を求めてみたいと思うのです。

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