「としょかんフェスティバル」

    金光図書館長・本部在籍 金 光 英 子  


 金光図書館は、平成二十五年九月八日の創立七十年の記念日に「としょかんフェスティバル」を開催した。その中で吉備舞が披露されたのである。
 図書館は、前年の六月に、思いもかけず、金光和道前館長の帰幽という出来事にみまわれた。前館長は「図書館創立七十年の記念日には、文化的な行事を開催し、初代館長(四代金光様)にお出ましをいただきたい」という願いを持っておられた。そこで、前館長の願いを受けて、創立記念日に「としょかんフェスティバル」を開催させていただこうとの願いを立てさせていただいた。
 そこで、実現できるのかどうか不安を抱きながら、吉備舞の指導者の金光健子先生に「図書館の記念日に吉備舞の演奏をしていただけませんか」とお伺いをたてた。すると、驚くべきお返事が返ってきた。「私は、金光図書館で吉備舞を舞ったことがある」とのこと。
 そういえばそんなことがあったかもしれない。調べてみると、確
かに昭和三十四年十一月二十六日から二十八日に、日本図書館協会が、金光図書館で公共図書館部会全国ワークショップを開催している。そのワークショップの開催にあたって、吉備舞が披露されているのである。なんと、当時の金光図書館三階の大広間で、楠木正成・正行親子の別れを舞った「桜井の駅」が舞われている写真が残されていた。
 全国から集まった図書館職員たちが吉備舞に魅了されたことは想像に難くない。初代館長の四代金光様もご臨席で、正成を舞われた子先生に目を細めていらしたのかしら、との思いもわいてくる。
 それから、多くの方々のご協力を頂き、としょかんフェスティバルの中で、同じ「桜井の駅」が演奏されることになった。会場は本部総合庁舎一階のホール。吉備舞を披露するためには、重い舞台を運び込まねばならない。九月六日に舞台が運ばれる手はずが整い、人員の確保もできた。しかし、九月に入って連日雨模様。三日、四日、五日と豪雨で舞台移動どころではない状態だった。天を仰ぎながら神様におすがりする思いの毎日。ところが、六日にはその雨がすっかり晴れ上がり、計画以上にスムーズに舞台移動が取り運べたのである。
 としょかんフェスティバル当日には、それはそれは見事な吉備舞が演奏され、図書館関係者をはじめ、教内外の多くの方々を感動させるものであった。「あまりの美しさとすばらしさで、涙を禁じ得なかった」という感想が寄せられた。
 「祭典は無言の教導である」とおっしゃった方がいる。私は吉備舞にもすばらしい力があることを再確認した。金光教の祭典の奉納舞に限らず、もっと機会や手法を工夫して、みんなで吉備楽や吉備舞を盛り立て、さまざまな発表の場が設定されればよいと思う。さらに、後生にも末永く伝えたいものと願いを新たにした。