巻頭言

「 神縁まことに不思議にして、
 今この楽道に出で会うを得たり


                        金光教財務部長・金光教香春教会長 山 下 輝 信



生神金光大神大祭奉納舞「霊地の光」
(平成23年10月10日 男性の舞人により奉納された)
 いろいろな出会いがあります。人に出会う。教えに出会う。神に出会う。
 今日までにどれほどの出会いがあったことでしょう。
 昨年出会った言葉二つ。土井隆雄(宇宙飛行士)「宇宙へ行って、宇宙は目的をもって創られたものであり、その全体を神と感じた」瀬戸内寂聴「宇宙には宇宙を支配する何か大いなるエネルギーがあって、それを神と呼んだり、仏と呼んだりするのだろう」
 先年、その瀬戸内寂聴師の友人である、曹洞宗の青山俊童師(作家)の直筆の書を頂いた。それは曹洞宗のお寺を訪ねた折、ご住職が「私の師匠の書です」と、下さったもので、“梅開早春”との書でした。これは曹洞宗の開祖、道元が中国へ修行に行った時、師匠から頂いた教えだそうです。
“梅、早春に開く”あるいは“梅、早春を開く”と読むそうです。どのような意味かというと、特に意味はなく、銘々がそれを頂くとのこと。けれども「を」と「に」では意味が違います。“梅、早春に開く”だと、春が来て梅の花が開く。“梅、早春を開く”であれば、梅の花が開いて春が来る。となります。青山師は最初どう頂いたかというと、“梅、早春に開く”「何事も時節を頂いて」と頂かれた。しかし、年月を経て“梅、早春を開く”「梅というのは私のことだ。私が信心させて頂いて、道を開くのだ」と。そして今は「そのようなものではない」と悟られた。「天地の御命、御働き、御心を頂いて、人として命を頂き、生かされている。存在せしめられている」と頂かれた。
 人も梅も、天地万物一切が、天地の御命、御働き、御心を頂いて人として梅として命を頂いていると。これはまさしく天地の親神様のご内容に出会われていると思いました。

 四神様は「信心いたしましたら、流行歌でも心得て聞いていかなければならない。歌の文句に、結構なことがある」と、み教えくださっています。歌の中にも出会いがあると。
 私たちは、金光大神様の御取次によって、親神様に出会うことが出来ました。そこから新たな出会いがあり、そして会員の皆様には「楽道」に出会われたのでしょう。
 「出会う」と一言で申しますが、出会うまでにはどれほどのことがあってのことかと思います。親神様、金光様、先人、先生方、信奉者方々の願い、ご苦労、道伝えあってのことでしょう。

 人間は母親の胎内にいるときから笑う稽古をしているそうです。母親が笑うから笑うのでもない。母親が笑う稽古をしなさいといって笑うのでもない。胎児が笑う稽古をしようと思って笑っているのでも、勿論ない。親神様のなさることです。親神様が稽古する力を胎内にいるときから下さっているようです。
 喜ぶ稽古、楽道の稽古、信心の稽古を進め、更にお役に立たせていただきたいものです。