WCRP青年世界大会交流会で吉備舞演奏


2006 年 8月21日から25日まで、広島・京都にて「WCRP 青年世界大会」が開催され、8月23日に広島・国際会議場で行われた、交流会の場で金光教の文化として吉備舞を披露しました。
WCRP 青年世界大会は、世界中のあらゆる暴力をのり超え、共にすべてのいのちを守ることを願って開催される「第 8 回世界宗教者平和会議世界大会( 8/26 〜 29 )」の関連行事として、世界中から青年宗教者の代表約300名が集い、世界和平へ向けての話し合いが持たれる場です。

演奏を披露した、「文化交流T」は、海外から来られる方々に日本文化の伝統をご覧いただき、その奥深さ、すばらしさを体感
してもらうための場として設定されたそうです。

当日は、数教団から日本の文化芸能が披露され、金光教の吉備楽がトップバッターとなりました。何でも、演出担当の方がぜひ「凛とした日本の伝統文化」の側面を最初にもってきたいという意図があったとのことです。
演奏曲目は、楽器紹介を兼ねて中正楽「四調の春」と吉備楽「富士の峯」を1人の舞人により披露しました。




その際に作成した、金光教 中正楽、吉備楽の説明文です。
(同時通訳で、場内に英訳が流れるとのことで、少し頑張って作ったのですが、結局は他の教団との兼ね合いもあり、大幅に削られてしまいました・・・・・・)

 金光教の儀式に使用されている、日本古来の楽器で演奏される音楽を「典楽(てんがく)」といいます。「典楽」には、明治の初頭に旧岡山藩の楽人であった岸本芳秀(きしもと・よしひで)が、雅楽の伝統を生かして創作した「吉備楽」と大正期に金光教の初代楽長尾原音人(おはら・おとんど)が創作した、独自の祭典楽「中正楽」があります。本日は、その二つの曲をご鑑賞いただきます。
まず、「中正楽」をお聴きください。
金光教では、祭典に使用する音楽として、まず「吉備楽」が使用されました。「中正楽」は、その「吉備楽」が儀式音楽として根付いたころ、初代楽長である尾原音人が金光教独自の祭典音楽を願って創作されたものです。その調べは、雅楽を基にしており、金光教の祭典の中で使用できるように工夫を重ねたものでした。
「中正楽」は、大正4年(1915)4月の金光教本部の大祭ではじめて演奏され、以来こんにちまで祭典楽として使用されています。
 本日は、「中正楽」の中から、儀式を仕える「祭員」がその場に入場し着席する際に演奏される曲の中から「四調の春(しちょうのはる)」という曲を、使用する楽器の紹介も兼ねましてご鑑賞いただきます。
 演奏は、金光教典楽会中国支部のみなさんです。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
「四調の春」演奏開始

(龍笛音頭) 「笛の音が聞こえてきました。「龍笛」という竹で作られた横笛です。」
(箏が加わる) 「この楽器の音は、みなさん聞いたことがありますね。おなじみの「箏」 です。」
(笙が加わる)「不思議な和音が加わりました。17本の竹に金属のリードをつけた「笙」という楽器です。」
(篳篥が加わる)「大きな、哀調のある音が加わりました。葦のリードを使用する「篳篥」という縦笛です。」
(打楽器が加わる)「3つの打楽器が加わりました。大きい方から「太鼓」「鉦鼓」「羯鼓」といいます。」
「雅楽では、まだ使用する楽器はありますが、本日の演奏に使用する楽器は以上です。それではもう少し、中正楽の響きをお楽しみください。」

ありがとうございました。「中正楽」の中から「四調の春」をお聴きいただきました。

続きまして、「吉備楽」をご鑑賞頂きます。
 先ほども紹介いたしました「吉備楽」は、明治という新しい時代の息吹の中から誕生した、いわば明治時代のニューミュージックと言うことができます。雅楽の香りを持ちながらも、雅楽にはない新しいメロディやリズムそして舞は、当時としては近代的な感覚あふれる音楽としてもてはやされました。現在では、黒住教、金光教両教団の中でのみ伝承されていますが、百年以上の時をそれぞれに独自の展開を重ねて今日に至っています。
 本日は、万葉集の代表的な歌人、山部赤人(やまべのあかひと)の有名な長歌「不尽(ふじ)の山を望(み)る歌一首」を歌詞として吉備楽による歌と舞を振り付けた「富士の峯(みね)」を 演奏いたします。
奈良時代の古歌を題材にして、歌と舞の中に込められた新しい明治という時代に対する明るく豊かな希望と、きわめて伸びやかな音楽世界をぜひご鑑賞頂きたいと思います。

「富士の峯(みね)」演奏