2011年10月 男性舞人登場!!



 かつて典楽は、男と女で役割を分担し、笙、篳篥、龍笛(=三管)は男性、箏と吉備舞は女性の領分として営まれてきました。それは、吉備楽の創始当初を除いて、信心の営みでもある典楽のごく自然な役割分担であったと思われます。
 今日、雅楽ブームの影響からか、この性別による役割分担が消えつつあります。もはや三管は男性の楽器ではなくなりました。笙から始まり、龍笛に及んで、まさかカエルのように頬を膨らませて演奏する篳篥には来ないだろうと思っていましたが、あっさり女性楽人が誕生しています。(やっぱり、東儀さんの影響なのでしょうか?)
 やや肩身の狭くなった感のある男性楽人でしたが、このたび男性の舞人が誕生するといううれしい報告です。
 舞人をつとめたのは、金光教豊田教会在籍の佐野祐輝さんと佐野直輝さんのご兄弟、まだ高校生と中学生です。小さいときから吉備舞にあこがれ、在籍教会では舞の御用をされていましたが、本部での御用を願って稽古に通いました。
そして、このたびの天地金乃神大祭第4日の奉納舞に選定され、本部大祭に吉備舞が定着してから、はじめての男性による吉備舞が奉納されたのです。
 はじめての男性舞人ということで、当日指導に当たった指導員も化粧の仕方や舞装束の選定など、いろいろと頭を悩ませたそうです。結果、黒の冠を着け、化粧は薄化粧。装束も渋めの衣装で女性とは違った気品が備わることになりました。

 さて、ご覧になった参拝者にはどう見えたのでしょうか。「吉備舞は女性が行うもの」。これは楽人のみならず、参拝者にも浸透しているようです。もちろん、気づかなかった方もおられたと思います。でも様子が違うことに気づかれた方もたくさんおられるようです。
 怪訝そうな顔で「今日の舞人さん、何か様子が違っていませんでしたか?」と言われたご婦人がいました。
「気づかれましたか。実は男性なんですよ。今日の舞人は。」
「・・・・。まあ、やっぱり。舞人は女性とばかり思ってたから」
「どうでした」
「ああ、やっぱり男の子かあ、やっぱりね。あ、良かったわよ。どうりで男の子かあ。」
結構な、インパクトがあったようです。
舞人の二人は、指導者にもなりたいそうです。今後の活躍に期待します。