典楽ものがたり
−金光教典楽の歴史と未来への視点−

刊行にあたって


典楽ものがたり
金光教典楽の歴史と未来への視点
表紙
ここに、金光教典楽会結成五十年という大きな節目を迎えることができました。
たくさんの方々のみ祈りとご尽力に支えられ、この半世紀を歩ませていただき、まことにありがたく厚く御礼申し上げます。
顧みれば、本部組織として「典楽部」が設置され、初代楽長尾原音人師による全教への普及から典楽の歴史は始まっており、実に典楽会結成以前にも五十年以上の時が経過した上で今日を迎えているわけです。こうした百年以上の時を経て伝えられている典楽を、私を含め会員一人ひとりが受け継いでいること、また未来に向けて伝えていく使命をいただいていることを、心からありがたく思わせていただいております。ここまでの伝統をふまえ、更なる高みへ向かって、お取次をいただき信心と楽の稽古をさせていただきたいと願っております。
このたび、会結成五十年の記念のひとつとして、典楽の始まりからこんにちまでの歩みを振り返るとともに、ここからの歩み出しを考えていく契機となることを願いとして、この冊子を作成いたしました。
典楽の歴史、特に通史としてのものは、今まで作成されたことがなく、また資料も少ないため、編集にあたっては、三矢田(荻原)光先生の紀要掲載論文『金光教典楽史に関する断章』と山県二雄先生の『百年物語』を主な参考とさせていただきました。典楽の歴史を示す資料の調査については、金光教本部教庁総務部典儀室並びに金光図書館にお世話になりました。とりわけ金光図書館には写真資料も提供いただきました。
また、金光教島之内教会三矢田光先生、金光図書館藤井喜代秀先生には、校閲の労をとっていただきました。
お世話になりました各位に対しまして、ここに厚く御礼申し上げる次第です。
この冊子を通して、典楽と典楽会の活動を理解していただくとともに、今後の活動の願いや方向性を話し合うきっかけとなるなら幸いです。

  目 次
    序にかえて
    第一章 黎 明 
      吉備楽の誕生/吉備楽その隆盛 /吉備楽代替わり
      本教奏楽のはじめ/吉備楽制度として位置付けられる
    第二章 躍 進
      吉備楽本教に浸透していく/教祖二十五年祭/吉備楽海外へ進出する
      大教会所の建築 教祖三十年祭/本教信仰と吉備楽/家元尾原
      新たな世代の教団変革/中正楽の誕生/尾原時代の典楽/楽長の帰幽
      楽長在世中の奏楽のようす
    第三章 混 迷
      戦中戦後の教団変革と楽人組織/楽部の復活と混乱/典楽の揺らぎ
      教規改正と楽部の廃止/楽人・組織の問題性/典楽会結成/吉備舞存廃論議
    第四章 再 生
      典楽会の組織化/高度経済成長期と典楽/典楽第二世代の意識
      規約改正 楽員階級制の廃止/典楽会 その後から現在まで/戦後の典楽を振り返って
      未来への視点=当面する課題 / @楽技の統一/Aレベルアップ/Bテクノロジー
      C洋楽との関わり
    結びにかえて