邑久光明園天地金乃神大祭奏楽奉仕
2022/5/26

 長島(岡山県瀬戸内市邑久町虫明)
 令和4年5月26日、国立療養所邑久光明園金光教求信会会堂において、天地金乃神大祭が4名の祭員と3名の奏楽員により仕えられました。
 当日は諸事情から、一時間繰り下げ14時から開始され、入園されている方々をはじめ関係各方面の方々が参拝されました。

 国立療養所邑久光明園は、岡山県の東部にあたる瀬戸内市邑久町虫明の長島という離島にある、ハンセン病療養施設です。かつて大阪に所在した同様の施設「外島保養院」が、昭和9年に室戸台風の直撃で壊滅的被害を受けたところから、その代替地として現在の地に移転し、昭和13年4月、名称を「光明園」として再興され現在に至っています。
 金光教求信会会堂(光明園内のお広前)
 奏楽奉仕がいつから始まったのか、定かではありませんが、たぶん金光教求信会会堂が竣工したあたりからではないかと思われます。そこから途切れることなく今日まで続けられています。

 筆者も、若い頃に何度か行かせてもらった記憶があります。当時は、まだ本土(虫明)と島をつなぐ橋がなく、光明園には50メートル程の距離しかないのですが渡し船で行き来していました。「なぜ、こんなに近い島なのに橋を架けないのだろう。」当時の筆者には素朴な疑問でした。ハンセン病の歴史、実態に衝撃を受けるのはその後のことです。
 虫明と長島を繋ぐ橋、「邑久長島大橋」が架かったのは、昭和63年のことです。
 
会堂内御神前、御霊前
それは単に橋が架かるということではなく、人間の尊厳や差別などの重い問題に光があたる契機となる出来事だったことでしょう。この橋が「人間回復の橋」と言われる所以です。

 この度の御用を通して強く感じたことは、奏楽奉仕の御用は尊く有り難いのは言うまでもないことです。として、それと同じくらいにその教会や地域のことに耳を傾け目を開くことで、ありがたさが倍増し知見も広がるのではないかということでした。
 光明園内では、園内の建物が次々に建て替わり、以前からあった資料展示室もリニューアルされています。機会があれば、一度お寄りして、人間の重い歴史に触れ、人間とは、尊厳とは、真の開放とはという問題を考え
 納骨堂(亡くなられた方々が佛式神式問わず納められています。)
てみるには、絶好の場であると思います。