典楽の源流を求めれば、当然雅楽にたどりつきます。雅楽は、邦楽の原点の一つであるからです。 特に中正楽は、雅楽そのものを規範にして、金光教の儀式に即応するような形で意図的に作られたために、一見、その構成、響き、諸々が雅楽に似通っている、あるいは雅楽に聞こえてしまうといったように感じられることがあります。 しかし、中正楽は、誕生当初のそのような状況を抱えながら、100年以上の間、独自の熟成を重ねて今日へと伝承されてきました。その響きは、祭典の厳かさをより深め際だたせるように。そのリズムは、祭典に臨む祭員(さいいん:祭典を執行するひとたち)の行作の動きに合うように。 そこに、中正楽が持つ独自の空間が感じ取れます。 吉備楽については、音楽そのものが日本独自の音楽文化の香りを十分に漂わせるものです。この吉備楽は、祭典楽をのぞき、いわば人に見せる鑑賞音楽として伝承され独自の展開がなされてきました。明治の初頭に作られたので、その当時の時代背景が色濃く残っており、ある面では、一種のなつかしさを感じさせる音楽です。 |
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